14人のつくり手たち
株式会社参創ハウテック
代表取締役社長
清水 康弘
YASUHIRO SHIMIZU
前職では住宅資材専門商社、大手建材メーカーの仕事を通じて、住宅業界が抱える矛盾と課題に直面し、将来に向けてつくり手の「見える化」を推進しようと一念奮起。1998年に株式会社参創ハウテックを設立し、建て主様をはじめ多くの住まい手と出会いました。旧態依然とした業界の中で、コンプライアンスとセルフディスクロージャーを徹底した現場主義を貫き、選ばれる真のつくり手を目指しています。
好きな言葉は、流汗悟道(自ら汗を流し働き、正しい道を悟る)、先義後利(道義を優先させ、利益を後回しにすること)で、業界関係者の知人も多く、最近は業界の底上げのための技術向上を期し、工務店や設計事務所向けの勉強会等にも積極的に参画しています。
良い家づくりの第一歩は、まず全体像を俯瞰することから始まります。
そして、いい人に依頼するのではなく、できる人(会社)に依頼するのがコツだと確信しました。
私たち現代人は情報という名の大河の畔に立っていて、その激流に巻き込まれる危険と、取り残されることへの不安を抱きながら暮らしています。 家づくりに関しても全く同様で、様々な企業から膨大な量の情報が発信されている中で、一体何を信じて良いのか、調べれば調べるほど、ますます混乱してしまいます。
どの工務店や住宅会社も、お客様の気を引くために鵜の目鷹の目で販売競争をしています。
今一度、考えてみましょう。あなたが欲しいのは、設備ですか?家ですか?それとも・・・?
そもそも住宅業界は、他の産業と比較するとローテク産業です。自動車産業やIT産業のように革新的な技術開発が起り、進化を遂げたことは住宅産業史上ありません。
弊社も技術という言葉を良く使いますが、施工技術という意味合いが濃く、実際には「家づくりは工学」なのです。既存技術を習得し、検証し、それらを組み合わせることにより、より良い家づくりが出来るのです。家づくりの工学に必要な環境指標やデータなどは、国が主管する国土交通省関連の建築研究所や建築環境省エネルギー機構(通称:IBEC)などから多くの情報が発信されています。また、それらの技術情報を現場向けに咀嚼された参考本なども数々発刊されています。
まずは、長期優良住宅や住宅性能表示、さらに次世代省エネ基準など、国の施策に充分対応できるつくり手を選ぶのがコツです。
建物が建つ予定の敷地の条件は、一軒一軒それぞれ違いますので、建物の基本的性能をしっかり担保しつつ、その敷地のポテンシャリティを最大限引き出す設計が必要になります。そのためには、プラン提案に必要な設計力だけではなく、性能や品質に大きく関わる工学的な手法が必要になるのです。それは理科的、定量的な知識と言っても過言ではありません。そのためには、広く深く工学的知識を習得し、研鑽することで家づくりに寄り添うレベルに向上させる必要があるのです。
そうすることにより、眉つばだけで中身が薄っぺらな〇〇システムや〇〇工法のように、かすり傷を包帯でごまかそうとするような嘘も見えて来て、正しいことが明快になるはずです。
家づくりの全体像が少しずつ見えてきたら、依頼先の決定です。
あなたは、いい人へ家づくりを依頼しますか?
営業段階ではどの会社も一生懸命で皆いい人です。しかし、依頼した後になって、「あの人はいい人だけど、ちょっとね。」という類の話を良く耳にします。家づくりは能力のある人や会社へ依頼すべきなのです。いい人ではなく、できる人(会社)へ依頼することが、家づくりを成功させるコツです。
いろいろ書いてきましたが、家づくりのゴールは多種多様です。住まい手もつくり手もジグソーパズルを解くような地道な作業の連続です。敷地条件、間取り、暮らしなどをひとつひとつ丁寧に紐解きながら、最適解を求めるのが正しい家づくりです。
まず、今までの固定観念や思い込みを捨てて、家づくりを俯瞰することから始めましょう。