連載「重量木骨で家を建てる」

本当の家づくりに必要な心得「重量木骨(SE構法)で家を建てる」

なぜ、私たち「つくり手の会」会員は、家づくりの工法に「重量木骨(SE構法)」を選んだのか。
「重量木骨(SE構法)」をおすすめする理由を連載で綴っていきます。

第二章 「綱渡りの島 日本 ~家が残った人と失った人の人生~」   2007.9.14(FRI)

 阪神大震災の当時、日本列島には149兆円もの住宅ローンが乗っていました。20秒間の激震は夢のマイホームを一瞬にして重い負の遺産へと反転させてしまったのです。その後、10年を待たずしてわが国のローン残高は200兆円の大台を突破しています。

 平成7年度の防災白書によると、阪神大震災による直接の死者は5,502人、負傷者41,502人、行方不明2人、家屋の損壊は33万821棟、被災世帯40万6,337世帯だそうです。

 さらに死亡原因である家屋の倒壊による圧死・窒息死88%、焼死10%、落下物2%という現実は、私どものような家作りの仕事に携わる者にとっては大変衝撃的なものでした。命を守る砦であり生活の拠点である住宅が、わずか20秒の激震で凶器に変身してしまったのです。このことは、人が生きていく上での住宅の重要さを如実に示しているとともに、私たち建築業界の人間に大きな課題を投げかけているように思います。

 阪神大震災、新潟の中越地震の被災者たちの姿をテレビ等で見ると、まず最初に被災して一時的に避難した避難所が体育館や公民館であることは少なくありません。そういう所では大勢の人たちがひしめいていて、個人のプライバシーがなかなか守れません。トイレが順番待ちであるとか冷たいものしか食べられないなどといった我慢を強いられることも多いでしょう。

 インフラの完全復旧には時間がかかりますが、例えインフラが駄目になったとしても自分を癒せる固有の空間があれば、プライバシ?だけは何とか守れます。ところが、テレビで見たある避難所生活では、一人当たり1.65平米の畳一畳以下のスペースしかありませんでした。

 被災した時の避難所生活では物資の不足もそうですが、プライバシーを守れないことが一番影響が大きく、心の病にかかったり先が見えなかったりして絶望を抱えてしまう人も出てきます。みんなと励ましあうという側面ももちろんありますが、大勢の人たちと寄り添っていることが再建へのエネルギーになるかというと、必ずしもそうでもないのです。

 人間というのはプライバシーの空間というものが必要で、その中で癒されたり、生きていこうという活力が湧いてくるものです。他人との関わり合いにも適切な距離感が必要です。適切なプライバシーというのを確保して、人は始めて活力を養えるものなのです。

その9へつづく)  by: Shimizu

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「本当の家づくり」

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